紫蘭はラン科の多年草、開花期は5月~6月、初夏の花です。万葉集では”慧(ケイ)”と呼ばれ、古くから親しまれてきました。
岩陰に 咲きて揺れける けいの花 妹し恋ふらし 春の夕暮れ 万葉集17-3967 大伴家持
紫蘭咲いて いささか紅を 石の隈 目に見えて涼し 夏さりにけり 北原白秋
昔も今もシランは庭石と相性が合うようで、互いに引き立て役になっている。
”夏さりにけり”は=”夏然りにけり”=”夏らしくなった”=夏が去る意味ではなく、夏が来る、つまり、初夏のことだそうだ。

つぎは花しょうぶ。花弁は青と白だが、花の中心部に黄色い模様があるのが特徴らしい。
ほととぎす 待てど来鳴かず あやめ草 玉に貫(ぬ)く日を いまだ遠みか 大伴家持
待っていてもホトトギスは来ず鳴いてくれません 菖蒲草を玉に貫く(通す)日はまだ先のことでしょうね 玉に通すというのは、霊力のある石や植物などを糸やひもに通して吊るし邪気を払った。軒先に吊るしたり、頭に挿したりした。

今日はまた 菖蒲のねさへ かけ添えて 乱れぞまさる 袖のしら玉 藤原俊成

健やかを 祈りて飾る 花しょうぶ はっけよいよい はっけよい 井上晴枝

芋カタバミ(酢漿草)。カメラの調子が悪いようで、ピンクん花が紫になってしまいました。
しじみ蝶 花うつりゆく かたばみに 書きあぐねたる 心あそばす 谷 鼎 (植物と短歌いろいろより)

鈴蘭ですがまだ咲いていないようです。
かず知らず 静脈のごと うちちがひ 氷る小川と 鈴蘭の花 与謝野晶子

以上、初夏の八草苑でした