斑入り藪蘭はラン科ではなく、ユリ科の多年生草木で、開花期は8~10月とされるが、長い酷暑を受けて今になってやっと咲いた。花は薄紫の小花を穂状につけ、やがて果実になるがすぐに皮が破れて濃い紫色の小さな玉(種)となる。

山菅が何を指すのか、ヤブラン、ジャノヒゲ、ノキシノブなど一定していないが、一応ヤブランの古名だとしておこう。
「ぬばたまの 黒髪山の 山菅に 小雨降りしき しくしく思ほゆ」 柿本人麻呂 万葉集2456 しくしくは絶え間なくという意味。黒髪山の山菅に小雨が絶え間なく降るようにずぅーとあの人のことを思っています。と、この歌を送った相手は誰なんでしょうね?
ぬばたまは、”檜扇”と言う草の黒く光沢のある種子を指します。和歌では、枕詞として、黒いもの(黒髪、黒髪を持つ女性”妹(いも)”など)、夜(夜、夕べ、今宵など)にかかり、静けさや儚さ、幻想的な情景を表現しています。

我が家の庭のヤブランです。やはり酷暑で遅れて9月末に咲きだしました。
「咲く花は 移ろふ時あり あしひきの 山菅の根し 長くはありけり」 大伴家持 万葉集4483
美しく咲く花は 散って枯れて行くもの 山菅の根のように長くありたいものだ。と大伴家棟梁として一族の繁栄を願ったもの。やがて政治の流れに翻弄され空しく散っていった。