八草苑に植えた秋の花の内、万葉集に詠われている花は山菅(藪蘭)と撫子です。(夏の花は、菖蒲(あやめ))

15番は斑入りヤブランです。秋の訪れを告げる花、万葉集では山菅(ヤマスゲ)と呼んで、14首あり、ユリ科ヤブラン族、東アジア原産の多年草、根茎は太く短く、葉は厚く線状濃緑色で根元から群生し、すっと伸びた花茎の上部に穂状に紫色の小さな花を円柱状に咲かせる。開花期は8-10月、花言葉は「忍耐」、「謙虚」、「隠された心」。
咲く花は 移ろふ時あり あしひきの 山菅の根し 長くはありけり 大伴家持 万葉集4484番 ぬばたまの 黒髪山の 山菅に 小雨降りしき しくしく思ほゆ 万葉集第11巻 2456番 (黒髪山は奈良市北方の山地)

16番、オキザリストライアングラシス、別名を紫の舞ともいう。カタバミ科カタバミ属、球根多年生、花期は9月、色はうす紫、濃い紫の三角の葉が特徴的。種がはじけて増え、また根が長く、途中の節の部分から茎が立ち上がる。 群れ生ひし 酸奬葉の か青きに 時雨ふりつつ さびしきろかも 斎藤茂吉

17番はホトトギス、ユリ科ホトトギス属の多年草。開花期8-11月、黄上臈杜鵑草、花は釣鐘型で艶のある黄色。茎に細かい毛がある。花言葉は「永遠の若さ」、「あなたの声が聞きたくて」。鳥のホトトギスは霊鳥とされていたため、花も格調高いとして生け花や茶花に古くから用いられてきた。 「杜鵑草 黄なるを見れば 物干しに 時雨の雨は ぬれつつぞ降る 土屋文明

18番 オダマキ(苧環)多年草、落葉性、開花期5-6月、紫。花弁が筒状になっている。花言葉は「愚か」、「必ず手に入れる」、「勝利への決意」(花色は紫)、心配して震えている」(花色は赤) 「しずやしず しずのおあまき繰り返し 昔を今に なすよしもがな」頼朝に捕らえられた白拍子”静御前”が義経を偲んで舞いながら詠った歌。オダマキは花の筒状の形から、紡いだ麻糸を巻き取る苧手巻という糸巻きに似ているのでついたそうです。少し下を向いて咲くのが日本苧環の特徴だそうです。

19番イモカタバミ(芋片喰) 地上部が枯れて無くなってしまいました。 球根、開花期4-5月、ピンク、一日花、花茎の先に十数個の花が散形につき、花弁は5枚濃い紫色の筋があり、花の真ん中も濃い紅をしている。花言葉は「喜び」、「輝く心」。 固く閉じ うつむく花は 晴れを乞う そうとは気づかず 雨に唄えば

20番シュウカイドウ(秋海棠)球根、多年草、開花期7‐10月中旬、白、桃色、夏から秋にかけてベゴニアに似た花を咲かせる。うなだれて咲いているように見えるので、花言葉は「恋の悩み」、「片思い」、「自然を愛する」、ハート形の葉が左右非対称なのに由来しているそうだ。 色も名も 唐(から)くれなゐの 花のつゆ かけそめて見む 倭(やまと)ことの葉 本居宣長
下の写真は10月8日に一株植え替えしたものです。ピンクの花を幾つも付けて、ハート形の葉が左右非対称なのがわかりますか?


鉢植えのヤマトなでしこ。次の写真は1週間前に株分け、移植したが、花が散ってしまったようだ。

21番カワラナデシコ(河原撫子)、別名ヤマトナデシコ(大和撫子)常緑多年草、開花期7‐10月、赤、ピンク、白など。花弁の先が糸状に裂けた特徴ある形をしている。絶滅危惧種ともいわれる。 秋の七草のひとつ。(秋の七草とはオミナエシ、ススキ、桔梗、藤袴、蔦、萩、撫子で、観賞用に日本らしい美しい花を集めたもの)花言葉と花の色、「純粋な愛」ピンク、「器用・才能」白、「純粋で燃えるような愛」赤。
万葉集にはなでしこの歌が26首あり、そのうち12首が大伴家持の歌だそうです 我がやどに 蒔きしなでしこ いつしかも 花に咲きなむ なそへつつ見む 大伴家持 (万葉集1448) 後に妻となる坂上の大嬢(おおいらつめ)に贈った歌。
石竹花(なでしこ)が 花見るごとに 少女らが 笑まひの にほひ 思ほゆるかも 大伴家持(万葉集4114) (撫子の花を見るたび娘の笑みのあでやかさが思い出させることよ) 家持の妻(坂上大嬢)が庭に植えた撫子の花が咲く前に無くなってしまい、越中に単身赴任した時、妻を偲んで詠んだ歌。
以上21種の草花を植えました。すべて山野草とされています。ユリ科が最も多く5種類ありました。⑤釣鐘水仙、⑥鈴蘭、⑫日光黄菅、⑮藪蘭、⑰杜鵑草。 彼岸花科は3種類、⑪アガパンサス、⑬野蒜、⑭玉簾でした。21種中、地域によっては絶滅が危惧されているもの(翁草、紫蘭、河原ナデシコなど)もあり、大切に育てたいものです。
春になったら、八草苑で花見を楽しんでください。